天使の足音(つま先アップくつ下)
《第1章》
2008年3月、新潟医療福祉大学で行われた日本リハビリテーション連携科学学会に機器出展をした時でした。
ブースの準備をしていた時に
「転倒予防くつ下、履いてみてもいいですか」
「なるほど、足先が上がりますね。歩いてみてもいいですか」
「これなら躓きにくくなり、高齢者の方々の転倒事故は減る可能性は考えられますね」
等々、看護学科の先生が声をかけてくださいました。
展示会の最終日
「頂いた転倒予防くつ下、姿勢が良くなり腰も楽になりますね」
「地面を掴む感じで、しっかり蹴りだしも出来ますね」
「他のものと比べ、足の浮腫みが少ないようです」
そして
「多くの看護師は足の疲れや浮腫みで困っています。薄地のひざ下までの転倒予防くつ下を開発してください。機能ばかりに目を向けるのではなくデザインも考えてくださいね」
1年後です。
看護師さんの職場環境に対応できる転倒予防くつ下の開発、共同研究をお願いできる看護系の研究者を探す中で県立広島大学看護学科井上誠准教授(当時は講師)との出会い、熱いものを語られる先生で意気投合しました。
《第2章》
試作の開始、10月には製品実証支援事業(全国中小企業団体中央会)の採択で調査開始、看護師さんの疲労ストレス対策としてひざ下丈の転倒予防靴下の試作開発品、看護現場から指摘されるコメントは厳しいものばかりでした。
2011年2月6日TBS放送の『夢の扉』に出演、販売中の転倒予防くつ下と外反母趾対策くつ下の大変な問合せ、「やっとつながりました」とお客さんから言われる状況が2か月余り続きました。
天使の足音も放送されました。
当時は、『貧乏ゆすり靴下』という仮の商品名、竹原病院さんの看護師の皆さんの協力を得て撮影が行われました。
加速度脈波計測システム(YKC製)でストレス度と疲労度の就業前と終業時の測定、
「足がかるーい」
「浮腫んでいない」
「夕方になると躓いていたのが、今日は躓かない」
等々のコメントが放送、多くの病院から問い合わせが来ました。
「試作段階なので販売はまだ未定です。何点か問題を解決しないと商品化はできません。もうしばらく待ってください」
試作品、解決しなければならない問題がいくつかありました。
「履きづらい」
「ゴム口がきつく、痒くなる」
「運動した後の爽やか感のある疲労感を感じる」
「名前は面白いけど、貧乏ゆすり靴下では買う気になれません」
等々、
さらに、測定器でもストレス度では良い数値にもかかわらず疲労度は悪い数値、なぜ悪い数値になるのかが分からないままで発売する気持ちになれませんでした。
《最終章》
「疲労度数値はよくなりました。履きやすく、ゴムの跡がつかず、残る問題点は商品名だけですね」
井上先生からの報告、新潟医療福祉大学の先生から依頼を受けて5年が過ぎていました。
商品名、いろいろ考えました。
『貧乏ゆすり靴下 ストレス対策靴下 姿勢矯正靴下 疲労回復くつ下 青春靴下 初恋靴下 』等々、考えめぐらしていました。
調査研究、テレビ撮影で協力いただいた竹原病院の橋本看護副部長の
「天使の足元にしたら」
「何人もの患者さんが夜間ペタペタ足音がしなくなりよく眠れるようになったと言われるので調べてみたのよ。そうしたらモニタリング調査が始まってから足音がしなくなったのがわかったのよ」
「まってよ、天使の足音、こっちのがよくない」
『天使の足音』、さっそく商標登録の申請を行いました。
「天使の足音、いい名前ですね、商品イメージにぴったり、、今までのパールスターのイメージとは今回は少し違いますね」
は井上先生の後日談、先生の真意はわかりませんが賛辞の言葉と私は理解しています。
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研究調査:県立広島大学保健福祉学部 調査対象者:20代~50代の看護師・妊婦・立ち仕事関係者 約220名 |
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