転倒予防くつ下、医療系専門書に掲載
【男性50歳代 右麻痺 右BRS上肢Ⅲ 下肢Ⅳ】
着用前-15度 転倒予防くつ下着用+5度
【開発物語】
平成18年の5月
「足先を上げる補装具はあるが日用性に欠けるので患者さんが使いたがらない」
「10年間、靴下にゴムバンドをつける商品を試作してきたがうまくいかない」
「日用品として使いやすく、そして足先が上がる商品を開発できませんか」
といわれる義肢装具士さんが尋ねて来られました。
自信があったわけではないのですが、
「当社は靴下製造が本業なので靴下で開発してみます」
試作を繰り返す中、8月に神戸学院大学で行われた日本リハビリテーション工学会で試作品を展示
「履いても良いですか」
「なるほど、足趾が上がりますね」
「装具でなく靴下でMP関節の背屈機能を得る方法、いいですねぇー」
「底屈機能が妨げられるので立位の時のバランスが悪いですね」
「足の機能を勉強して研究開発すると良い転倒予防靴下になりますよ」
「高齢者の転倒事故は頸部 大腿部骨折そして寝たきり 痴呆につながりますので
良い転倒予防靴下に仕上げてください」
専門用語が多く半分も理解できませんでした
後に、この方がべトちゃんドクちゃんの執刀医の澤村先生だった事を知りました。
早速、学会で名刺交換した松江医療福祉専門学校の南場先生(理学療法士)を訪ね専門書に広辞苑にない専門用語に平仮名、そして数回のレクチャーで足の構造の勉強をしました。
知れば知るほど転倒事故に対処できる転倒予防靴下ができる自信がなくなってきました。
半年間の模索、広島銀行より広島大学大学院保健学科 浦辺教授の紹介を受け
「なるほど、上がりますね」
「靴下で転倒予防の効果を得る発想は新規性が高いので一緒に開発しましょう」
2ヵ月後のミーティングで
「大変面白い測定結果がでました」
「転倒予防対策ではかなり期待できる測定結果が得られました」
そしてモニタリングを行う中で
「足趾をあげる効果はヒザ痛 腰痛対策にもつながるので、これにも有効性が期待できるかもしれません」
等々の3時間にわたるレクチャーを受ける中で一気に解決策が見えてきました。
こうして転倒予防靴下が完成したのです。
「階段の上り下りができなかったのが、上りだけですがのぼれるようになりました」
「片麻痺で右足をひきずって歩いてたのが足を持ち上げて歩けるようになりました」
「ヒザの痛みで毎週病院に行っていたのが今は月に1回だけです」
「こむらがかえりトイレに間に合わないのでオシメをしていましたがオシメがはずせました」
等のコメント、本格販売は平成19年10月からでした。
そして平成20年4月に八王子市の坂本なかさんから
「現在82歳、50代にひざの手術をしてからは階段を降りる時は後ろ向きでおりていました。病院で紹介されて履くようになった転倒予防くつ下で前に向いて降りられるようになりました。これからの人生、前向きな気持ちで過ごしていけます。感謝です」
商品のお褒めの言葉は頂いたことはありますが感謝のお手紙は初めてでした。
団塊の世代の私にはこのような体験は未だありませんが東京での展示会の時でした。
電車が入ったので階段を駆け下りとび乗っていた自分にビックリ、以前は足がもつれるので次の電車にしていました。
何故このような現象があるのかを浦辺先生にお聞きしたところ
「促通効果が得られた可能性は考えられますね」
○第18回日本靴医学会で学会発表
○日本リハビリテーション工学協会主催
福祉機器コンテスト2007「優秀賞」受賞
広島大学大学院保健学研究科浦辺幸夫先生の研究によって、効果が実証されました。
1 . 歩行時の母趾伸展角度
母趾伸展角度は普通の靴下着用時に平均36 . 7 度であったのに対し、転倒予防靴下着用時には平均50 . 7 度と14 度、有意に増加しました。
2 . 昇段時の母趾伸展角度
1 )足趾が台の縁を越える瞬間
母趾伸展角度は普通の靴下着用時に平均20 . 8 度であったのに対し、転倒予防靴下着用時には平均41 . 7 度と約20 . 9 度、有意に増加しました。
2 )足プレースメントの瞬間
母趾伸展角度は普通の靴下着用時に平均17 . 4 度であったのに対し、転倒予防靴下着用時には平均41 . 0 度と23 . 6 度,有意に増加しました。
【姿勢改善】
発表者:広島県立あきつ病院
調査対象者:平均年齢77.8歳 16名(男性10名 女性6名)
全員に改善が見られた中で顕著な改善者は12名。
【靴の医学 原著】
【中国ブロック理学療法学会】
全員が熱いものを覚えたお客様からのメッセージ